太陽を曳く馬 読書 その3 (ネタばれ)昔サイトに置いておいたものを緊急避難

  • 2010.03.01 Monday
  • 00:51

 昔読みながら書いていたメモです。サイトに昔アップしていたのですが、とりあえず改装中なので最初の方だけこっちに置いておきます。ネタばれなので。
サイトを綺麗にできたらこのメモの続きもやりたいですが。いつ終わることやら


太陽を曳く馬 第三章 TOKYO POP 2006年12月346〜364頁

★第三章感想★
さて,1998/6/3に逮捕された秋道の取り調べの回想シーンが続いております。臨場感があふれているので、こちらも一緒に聴取をしているような気持ちに陥ること請け合い。つい本編はすでに公判に持ち込まれている2001年だということを忘れそうになってしまいます。
さて1998年6月3日、なんとか秋道を送致までこぎつけようとしている武蔵野署の48時間(送致は48時間以内にしないと違法になってしまいます)です。夜、そこに52歳の寺の副住職をやっている秋道の父、彰之がやってきて合田と1987年以来の対面です。
彰之と言えば、当然春子や新リア王の登場人物。もう一度読み返さないとだめですね。

さて、秋道関連で現れる人がみ〜んなアートな人ばっかりで,取り調べしつつ完全に当惑している合田。ぶっとびまくっている供述に呆然としている合田が非常に非常におもしろいです。
それにしても荒井久美子の供述というか演説(?)の長さとぶっ飛び具合といったら!!よくこれだけ合田みたいな刑事の前でつらつらと芸術論ができるわね〜。合田の目,まったくもって点になってそうです。
荒井には「公務員にする話じゃない」と言われ,坂東には「警部さんに言っても無理か」などと言われ,20歳の牧野には「おじさん」と言われ。散々な合田雄一郎。昔だったら一発で血が上ってぶんなぐっていたでしょうに。このあたりは余裕の42歳?

合田は今回殺された「大野」という秋道の同棲相手ががどんな女性だったのかについて聴取しているわけですが,吉田戦車に出てくるマチ子さんの一発芸(?)をやるようなぶっとび娘だといういことは分かっていても,人間としての大野の姿が明確に浮かび上がってこないみたいで,合田はまた苦悩中です。
そういえば,男の坂東に「カッコイイ」と言わしめる合田雄一郎。ふふ,42にして精かんなマスクは衰えず,ですか。よかったよかった。
そういや若いころの合田の低血圧どうなったんでしょうか?バイオリンは?ウィスキーは?う〜んまだまだナゾだらけ。

二章もそうだったんですが,バーミリオンという色が出てきたり,絵がテーマになっているだけあって,色が沢山出てきますね。照柿のときもそうだったけど,この作品もどこか赤っぽいイメージがあります。
単行本になったときの表紙が楽しみ。
そして秋道の描いた太陽を曳く馬がキイワードとなってちらちら見え隠れ。
さて,次は秋道の送検後の話かな。
う〜ん,秋道の供述の危うさに,その精神について疑問を抱きつつも,容赦のない情状意見を書いて無理矢理送検してしまう合田雄一郎。やっぱりどっか壊れてるな。

 

●以下ネタばれメモ

●346頁:1998年6月3日に逮捕された秋道事件回想の続き。秋道の父、福澤彰之が武蔵野署に現れ、合田と対面。

●347頁:同上→合田、3階の取り調べ室で秋道の成育歴につき聴取。
秋道曰く、初江が76年春に秋道をみごもったことを知るが、金を渡して事をすませた。→出家したあと、83年初めに初江が寺を訪ねてきて、秋之が教護院にいることや初江が夫が行方不明であることを知り、中学生の秋道の写真を見て初江を青森に連れてゆき、ともに暮らす。→その後85年2月に初江の夫の所在が分かったものの、秋道が教護院で強盗障害を起こし、保護処分に。→86年、初江が行方不明になり、彰之、16歳の秋道と初めて対面し、秋道を引き取る。
・すでに52歳となって…1998年現在、彰之は52歳。
・くっきりとした白眼と黒眼のある二つの穴が…合田による彰之の目の描写。やっぱりアナ。

●348頁:合田、秋道につき引き続き聴取。彰之、秋道につき引き続き話す16歳の秋道と対面→87年1月から定時制高校に編入→注意力散漫→精神的にどこかおかしい状態であったが、精神科には見せなかった。
小屋の壁にペンキやクレパスで絵を描くことに夢中。シンナー、暴力的。
●349頁:引き続き聴取。彰之、90年夏に秋道に最後に会ったときのことを話す。90年春に上京して通っていた専門学校から授業に出ていないとの連絡を受け、西新宿のアパートを訪ねると、秋道はひとりで絵を描いていた。
・息子としての意識は持てなかったが(略)仏家であっても人間であるほかない私の半身を私を飼っていたいたのだ。
・「自味得度先度他」と私どもは申します…自分が助かりたいと思うからこそ、まず人を先に渡したいと思う心。(正法眼蔵)
・87年12月に筒木坂で私の父の福澤榮が急死したとき…このあたりの話は、新リア王を参照。秋道に絵を描かせろと遺言。

●350頁:彰之、90年夏以降の秋道の動向につき供述。91年に大野から、秋道と同居しているというはがきをもらう。

●351頁:合田、秋道の幼少からの暴力性と大野殺人事件についての関連性につき彰之に聴取。彰之、秋道の犯行を想像はできなかったと返答。
(このあたり、なかなか切れ味が鋭い合田の聴取が散見されます)
彰之、合田に秋道の絵を見たいといい、合田、写真を彰之に見せる。
彰之、けむりのように去る。

●352頁:合田、女優、荒木久美子を聴取。
ここから数ページに渡り、ひたすらアートの話を繰り広げる荒木。

●353頁:荒木、秋道とのことを話す。91年春に原宿駅の横の神宮橋の
上で白いチョークで幾重もの同心円を描いていた秋道と会う。

●354頁:落書きをしていた秋道、交番につれていかれたが、荒木が引き取った。
・私たちの隣で、世界が一ミリずつずれていくような感じ…この表現はどこかで見た。→要検証。
・刑事さんも、たとえば草間彌生の抽象画でもご覧になって…http://www.yayoi-kusama.jp/

●355頁:荒木、秋道を阿佐ヶ谷の自分のビルの六階を貸してやる。荒木は、秋道の成育歴についてはなにも知らなかった。

●356頁
・「こんな話、公務員の皆さんには関係なかったわね。でも、だから何?」…合田警部、馬鹿にされております。

●357頁:合田、荒木に、殺された大野のことを聴取。
・「吉田戦車のキャラクターの火星田マチ子という火星人の演歌歌手のパロディをやってみせたの」…ただただ原作を読むべし。
これを喜んだ坂東という演劇の仲間が、大野を面白がって採用した。
牧野という造形作家が、大野を着せ替え人形にしたインスタレーションを二年ぐらいやっていた。

●358頁:合田、荒木に殺された大野と秋道の関係について聴取。

●合田、翌日(1998年6月4日)坂東青次を聴取。

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